魚の標本を何種類ご存知ですか?
透明骨格標本、液浸標本、骨格標本などがあります。
その中で特殊な道具も必要ない簡単な骨格標本の作り方を紹介します。
骨格標本の作り方だけしりたいんじゃ!と言う方は目次からスキップしてください。
この記事はこんな人におすすめ↓
- 標本を作ってみたい人
- 魚の構造を勉強したい人
- 自由研究で困っている人
筆者のプロフィール:テトラ
目次
魚の骨格標本ってどういうもの?
まずは魚の骨格標本とはどのようなものなのか簡単に説明していきます。
魚の骨格標本とは内臓や肉、皮をすべて取り除き骨だけにしたものを乾燥させたものです。
グリセリン標本や透明骨格標本と比べるとそのまま骨だけになったということでかなりイメージしやすいかと思います。
どれもわからないという方のために三種類の標本の写真と共に簡単な説明を上げておきます。
そもそも骨格標本とは?と言う方のために一応wikiのリンクを貼っておきます。
骨格標本(Wiki)透明骨格標本

まずは透明骨格標本です。
これなら水族館などで見たことがある方も多いのではないでしょうか。
この標本は形を保ったまま魚の硬骨、軟骨をそれぞれ色分けして染色することで解剖などをせずに骨格を観察することができ、学術的に価値があります。
が、最近はその色彩の綺麗さからインテリアとしての人気が出ています。
しかしその製造過程においてホルマリン等の一般の人が扱えない危険な薬品を使用していることからとても高価なものになっています。
自分で作成することはできませんがピアスとして販売されていたりと、手に入れることは容易ですので興味のある方は是非。
…すごいセンスだけども…絶対話のタネになるよね…
色彩保存標本

次は色彩保存標本です。
簡単に言うと魚の腐る要素を取り除き、色を残したまま保存できるようにしたものです。
写真のように生きていた時とほぼ変わらない色を保ちながら保存することができます。
この標本は一応家庭で作ることができます。
しかし厳密にはヒレを綺麗に観察しやすくするためにホルマリンを使うのでその工程を無視すれば、ですが。
ヒレがうまくたたないだけで結構うまくできます。
また本来はグリセリン液に漬けて保存しておくのですが僕が考えた方法で1年半以上、常温の部屋で保存している標本があります。
これね↓(リビングに1年半以上おいていてこの状態です。)

興味のある方はこちらの記事を参考にしてください。
骨格標本
さて、骨格標本ですが最初に話した通り、魚を骨だけにした標本です。
一言に骨格標本と言ってもその作り方や完成系でいくつか種類があります。
目的とする完成系で一番イメージにあるのが全身骨格標本ではないでしょうか。
他には頭の骨だけを残した頭骨標本、顎だけを残して歯を観察できるようにした顎歯標本などがあります。
手元に頭骨標本と顎歯標本しかなかったのでこの二種類の写真を上げておきます。

これはサワラと言う魚を使った頭骨標本です。
サワラは鰆という漢字で春が旬の魚で、スーパーでもたまにあったりします。
ただしこの魚は少し骨が壊れやすいので扱いに注意が必要です。

これはネムリブカというサメを使った顎歯標本です。
サメの歯は特徴的で内側からどんどん新しい歯が生えてくるようになっています。
この特徴的な歯を観察するためにこのように顎だけを標本にする方法が用いられます。
サメの顎をそのまま入手する機会はそうそうないですが、完成品であればかなり安価で手に入れることができます。
かっこよく飾ってみてはいかがでしょうか。
僕は自分で作成したものをデスクに飾っております。
また、上に載せたサメの顎歯標本の写真は僕が実際に作成した1.4mほどのネムリブカの物です。
この標本に関してもいずれ個別に記事にしようと思っているのでブックマークをしておいていただけると幸いです。
魚の骨格標本を作る材料
魚の骨格標本の内、一番簡単に作成できるのが先ほど紹介した頭骨標本でしょう。
ですので今回はこの頭骨標本を中心に説明していきます。
まずは必要なものです。
- 標本にする魚
- 包丁やナイフ、ピンセット
- ポリデント又はハイター
- 除光液
- エタノール
標本にする魚
まずは標本にする魚です。
頭骨標本を作るのであればウツボなどが簡単なのですが、入手が困難なので普通にスーパーで売っている魚でよいと思います。
おすすめは真鯛などの鯛系、太刀魚、ヒラメ等です。
これらの魚は頭骨と共に歯も観察することができます。
鯛系はコケを削ぐための前歯にすりつぶすための奥歯、太刀魚はなんと言っても危険すぎる鋭い歯などを観察することもできるのでおすすめです。
包丁やナイフ、ピンセットは除肉用ですが、100円ショップで簡単に手に入るので説明は割愛します。
ポリデント又はハイター
ポリデントやハイターは手では取り切れなかった肉を除去するために使用します。
ポリデントは溶かす力が非常に弱いので骨の弱いような魚には有効なのですが、普通の魚に使用するならハイターを利用した方が良いでしょう。
除光液
ハイターで除肉して乾燥させて完成でもいいのですが、脂肪分の多い魚などは時間が経つと黄ばんでしまい、下手をすると虫が寄ってきてしまうこともあります。
そこで除光液を使用して脱脂作業を行う必要があります。
エタノール
本来脱脂をして乾燥させて完成でよいのですが、個人的には最後にエタノールに漬けた方が綺麗に仕上がる気がします。
特にサメの顎歯標本を作製した時はエタノールに漬けた方が綺麗に仕上がりましたのでやってみても良いかもしれません。
エタノールも簡単に手に入れることができます。
魚の骨格標本の作り方
骨格標本の作り方は単に手で除肉する方法、一度茹でてから除肉し、組み立てる方法、地中に埋めて微生物に分解させる方法などがあります。
今回は一番簡単な茹でずに手と薬品で除肉していく方法を紹介します。
手順は大きく分けて以下の4つです。
- 除肉(包丁やピンセット)
- 除肉(ハイター等の薬品処理)
- 脱脂
- 乾燥
それぞれ簡単に説明していきましょう。
除肉(包丁やピンセット)
まずは手で出来る限りの肉を除去していきます。
写真があまりなくて申し訳ないのですが、下の写真にちょっと肉が残っている程度がこのパートの目標です。

下あごや鼻先の方は場合によっては皮と骨が癒着して中々取れない場合があります。
小さいカッターナイフ等を使用すると取れやすいのですがあまり無理をすると骨まで削ってしまうのでほどほどに。
ここのパートでしっかりと除肉できれば見栄えもよく後のパートが楽になるので頑張りましょう。
軟骨まで取ってしまわないよう注意です。
除肉(ハイター等の薬品処理)
次に手ではどうしても取り切れない部分の肉をハイターを使って溶かしていきます。
今回はポリデントで行う方法は割愛します。
ハイターを水で希釈して漬けておく、と言う方法が結構ありますが僕はあまり堪え性がないので原液をぶっかけます。
広めの容器に頭骨を入れ、様子を見ながら肉が結構残っているなというところに原液のままかけていきます。
原液でとても溶けやすいので肉が溶け十分だと思ったらすぐに水に漬け、ハイターを流してください。
軟骨とかもガンガン溶けるので心配な方は希釈してもいいかもしれませんが、原液の方が早くて楽です。
※この作業は必ず換気をしながら行ってください。
脱脂
ハイターを流水で5分ほどしっかりと洗い流したら脱脂の作業を行っていきます。
僕は試しにこの作業を抜いた骨格標本も作製してみたのですが、かなり黄ばんでしまい若干嫌な臭いもするようになってしまいました。
やり方はとても簡単で数分漬け込んでおくだけです。
この場合も原液でやってもいいのですがもったいないので少し希釈して様子を見ながら漬け込みます。
この段階では将来標本が黄ばんでしまうかどうかわかりません。
乾燥
除光液をしっかりと洗い流したら日の当たらないところでしっかり乾燥させましょう。
一応脱脂した後に漂白剤に漬けたりエタノールに漬けた方が綺麗に仕上がりはしますがここは様子を見てお好みでいいと思います。
どちらにしろ乾燥させて、もし作成過程で骨が取れてしまっている箇所があるなら接着剤でくっつけて完成です。
作るだけで終わるのはもったいないですよ?
標本作ってかっこいい!はいおわりでもいいのですが、せっかくなので観察してみましょう。
頭の形、上顎の長さ、歯の形や生え方、色々と観察できますがそのような形をしているのは大体理由があるのですよ。
鯛に関しても真鯛、レンコ鯛、クロダイ、ブダイ等で頭の形が違うので比較してみると結構面白いものです。
こういうものを食べるためにこういう歯をしているんだな。
こういう生活をしているからこういう形なんだなと。
実際に標本を作って観察し、多種と形を比較し、そこから生活様式を考察することができるので骨格標本はかなり学びを得ることができると思います。
是非作成し、たくさん観察し、調べてみてください。
コメント